四季報そよかぜ 2020年4月号

「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)について」

理事長 岡田 純

新型コロナウィルス感染症(以下COVID-19と書きます)が流行しています。この文章を書いているのは2020年3月5日です。皆さんがご覧になる時点ですでに3月5日現在の情報は古くなっていると考えられます。また、私は感染症の専門ではありませんので、専門的な知識を書くこともいたしません。一般的なことのみを書かせていただきます。

情報について

最新の情報や専門的な知識は、報道やネット等で得るようにしてください。ただし、ワイドショー等娯楽性の高い番組や、誰が書いているのか解らないサイトでは、間違った情報も発信していますので、注意してください。

厚生労働省や国立感染症研究所や大学病院等、公的機関のサイトが比較的信頼できると思います。もちろん、公的機関でも間違うことはあります。一つの情報を鵜呑みにするのではなく、複数の情報を比較検討し、自分自身でしっかり考えて行動しましょう。

風邪症状?

風邪症状が出たとき、「ひょっとしてCOVID-19かも?」と不安になる方は多いと思います。殆どのマスコミも「なぜもっと積極的に検査しないのか?」と訴えています。

これについて国は、COVID-19の検査を実施する体制の拡充を図る考えを改めて示したうえで、3月6日から、検査の費用を公的保険の適用対象とする考えを明らかにしました。

「これで、風症状が出たときCOVID-19かどうかはっきりするので安心だ。」と思われる方は多いと思います。

ただし、注意していただきたいのは、どこの医療機関でも検査できるわけではないという点です。

検査できるのは、行政によって指定された「帰国者・接触者外来設置医療機関」だけです。「帰国者・接触者外来設置医療機関」は一般には公表されておらず、「帰国者・接触者相談センター」に電話相談し、センターでCOVID-19の疑いが強いと判断された場合のみ受診して検査を受けることができます。

また、一方で私は、保険適用化し広く検査を行うことに関してはいろいろな問題があると考えています。

検査方法について

まず、検査方法が簡単ではないという点です。COVID-19の検査はPCRという方法で行いますが、この検査は非常に手間がかかります。

もし検査をするとなれば、患者さんを隔離された個室に入っていただき、検査する医療者は防護服を身にまとい、痰や咽頭粘液を採取しそれをPCR検査の機会を持っている検査会社に取りに来ていただき、結果を待つということになります。

結果が出るまで、最短で5~6時間、場合によって2~3日かかります。その間患者さんは隔離された状態で過ごすことになります。

また殆どの検査がそうであるように、PCR検査も100%の検査ではありません。

偽陽性(実際にはCOVID-19ではないのにCOVID-19であるという結果がでること)になることも、偽陰性(実際にはCOVID-19なのにCOVID-19ではないという結果がでること)になることもあります。

偽陽性という結果が出れば、実際にはその必要はないのに2週間以上隔離されることになります。偽陰性という結果が出れば、実際には隔離の必要があるのに、安心して他人と接触してしまい、感染を拡げてしまう可能性があります。

そして、COVID-19には現時点においてインフルエンザのように治療薬がないということもご理解いただきたいと思います。PCR検査で陽性であっても、陰性であっても重症にならない限り一般的な風と同じ対症療法をするしかないのです。

ですから、この文章をご覧いただいている時点では、COVID-19の検査は保険適応になっていると思いますが、どうか、風邪症状が出た場合、すぐにCOVID-19かどうか検査してもらおうとなさらずに、軽症の場合はできるだけご自宅で市販の風邪薬等で療養していただきたいと思います。ただし、かぜの症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方(解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です。)・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方は「帰国者・接触者相談センター」に御相談ください。京都市の窓口は075-222-3421です。(なお、以下のような方は、この状態が2日程度続く場合早めに相談窓口に御相談ください。「高齢者・糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方や透析を受けている方・免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方・妊婦の方」)

そして、一番大切なことは言うまでもなく予防です。手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒などを行い、できる限り混雑した場所を避けてください、また、十分な睡眠をとっていただくことも重要です。屋内でお互いの距離が十分に確保できない状況で一定時間を過ごすときはご注意下さい。

新型コロナウイルス感染対策実施中

いのち全体を敬う眼差し

脳神経内科  岸上 仁

「なんとなく寂しい」認知症外来でときにそんな声を聞きます。

仕事も退職し、子どもも独立。友人とも会えなくなり、今までしていた趣味もできなくなった。では、今の自分というのは何が喜びなのだろうか、人生に喜びと言えるものはあるのだろうか。そういう疑いが起こってきます。今まで意味があると思ってきたものに信頼を置けなくなってしまった、確かなものなど何もない、という疑いです。

では私たちはその「確かなもの」をどこに見ているのでしょうか。それはいのちの価値をどこに見ているか、ということもできます。それは患者さんの「寂しさ」が教えてくれます。家族には慌ただしい生活の中で、「できない」ことを責められる。病院では知能検査で評価される。そんなふうにいのちの価値を「能力」で量られ、私自身を見てもらえない、私の悲しみを聞いてくれない、だから「寂しい」のではないでしょうか。

そういう量ることのできるいのちではなく、量ることのできない私自身、悲しみや苦しみを抱えながら生きる私のいのち全体を敬う眼差しがない。だから呼吸をしたり心臓が動いたりという「生命」としては生きていても、”いのち”が生きられなくなる。そういうことがあるのではないででしょうか。

私は寺に生まれたというご縁で、大学で仏教を学ぶことになりましたが、そこで教えていただいたのは、自分のものさしで決めた、プラスとマイナスのいのちの価値を越えた、いのち全体を敬う眼差しがあるということでした。それを仏の智慧と呼び、その智慧によって、いかに自分が、自分のものさしによって勝手にいのちの価値を決めつけ、自分自身のいのちを傷つけ、他者のいのちを敬うことができなくなっているかということを知らされました。

世間の価値観では、マイナスをプラスにすることばかりを考えがちですが、マイナスの中に、つまり苦しみや悲しみの中に、人間として生きることの大事な意味を確かめるということがあってこそ、やがて死んでいくという同じ悲しみを生きる者として、共にいのちを敬いあうことのできる場所が開かれるのではないでしょうか。

放射線科について

当院には、1.5T(テスラ)MRI装置があります。

MRI装置は、大きな磁石による強い磁場とFMラジオに使われているような電波を使って画像を得ます。そのため、放射線による被曝の心配なく検査を受けていただけます。

全身の検査が可能なのですが、一番に思い浮かぶのは脳ドックなどの頭の検査ではないでしょうか。MRI検査では、脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血(またその原因となる脳動脈瘤)、脳腫瘍、さらに認知症の有無まで診断ができます。

当院は、月曜日から土曜日まで院長が担当する脳神経外科もしくは脳神経内科といった頭を専門とする診察を毎日行っています。またMRI検査が必要となれば、多くの場合、即日検査が可能です。

閉所恐怖症の方、ペースメーカを装着されている方、歯科矯正をされている方など、MRI検査を受けることが出来ない方も、当院には16列マルチスライスCT装置もありますので、ご安心下さい。紹介状がない場合でも、特別料金(選定療養費)はいただいておりません。不安を抱えたまま過ごされるのは、大変辛いものです。頭痛、めまい、ふらつき、物忘れ等、少しでも気になる症状があれば、お気軽にお電話(075-781-5111)ください。

ほかにも放射線科には、一般X線撮影装置(レントゲン)、骨密度測定装置、超音波診断装置などもあり、検査機器が充実しています。また、頭に関してだけでなく、整形外科、内科、心療内科の外来もございます。

地域に密着した病院として、皆様の安心と笑顔のために、検査業務に携われていることを誇りに放射線科一同、お一人お一人、1回1回の検査に真摯に向き合ってまいります。

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