四季報そよかぜ 2018年2月号

平成30年 開院十周年にむけて

医療法人一仁会・脳神経リハビリ北大路病院長 岡田達也

平成30年も2カ月が過ぎようとしています。
平成の年号も来年4月で終わることが決まり、時の流れの速さをしみじみと感じます。

今年は4月に診療報酬のダブル改定を控え、当院も時代の流れに遅れないように着実に変革していかなければならないと痛感しています。

さて脳神経リハビリ北大路病院は、平成30年12月1日に開院十周年を迎えます。これもひとえに皆様方のご協力、ご指導の賜物と感謝いたしております。

十周年にむけてさらなる精進を続けていく所存です。

平成20年(2008年)12月1日に「石野病院」が新築移転し、「脳神経リハビリ北大路病院」となり新規開院しました。

平成21年(2009年)7月1日に、京都市左京区で5番目の回復期リハビリテーション病棟を取得し、2病棟体制となり、「回復期リハビリテーション病棟(36床)」と「障がい者病棟(20床)」になりました。

訪問リハビリテーション「きたおおじ」の充実も徐々に図ってきました。

リハビリテーションそのものだけではなく、心療内科医、臨床心理士による精神面のサポート、嚥下内視鏡検査、緊急時のCT・MRI検査など、他のリハビリ病院にはない独自の機能も最大限に使って、患者様の在宅復帰さらに在宅復帰後のお手伝いをしてきました。

平成29年(2017年)には訪問看護ステーション「脳神経リハビリきたおおじ」を再開させました。まだまだ小規模ですが、今後訪問リハビリとの相乗効果でさらに多くの方に在宅サービスを提供できるようにしていきます。

ロボットスーツHALによるリハビリついては、両脚タイプに加えて単関節タイプも導入し、外来での自由診療によるリハビリを開始しました。

脳卒中の急性期から回復期、在宅維持期に至るまでシームレスにロボットリハビリを提供できるようになると考えています。

また、神経難病の患者様にもHALを導入したり、外来での歩行機能改善にHALを導入してきました。

また、音楽療法についても入院患者様だけでなく、外来自由診療でより多くの在宅患者様に多様なリハビリを選んでいただけるようになりました。

平成30年(2018年)は、2月1日に病棟再編成を行い、「回復期リハビリテーション病棟(26床)」と「障がい者病棟(30床)」に生まれ変わりました。

他病院では充実したリハビリを受けられない患者様にも積極的にリハビリを行い地域医療にさらに貢献できればと考えています。

満十周年を迎える本年も、さらなるご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

平成30年 2月

心療内科 土井麻里医長 連載 第7回 「アインシュタインメモ」

新年明けましておめでとうございます。
昨年も大変お世話になり、心から感謝申し上げます。
今年は、冬季オリンピック・パラリンピック開催、ヘンリー王子(英国)のご成婚といった慶事が予定されています。今年一年がよろこびの多い年になることを心から願ってやみません。

昨年の秋、ノーベル物理学賞を受賞したアインシュタイン博士のメモが、エルサレムのオークションで、156万ド(約1.8億円)落札されたことが話題になりました。今回は、そのメモについて皆さんと分かち合いたいと思います。

そのメモは、博士が1922年(大正11年)に訪日した際、宿泊先の東京の帝国ホテルで、手紙を届けに来た日本人のベルボーイにチップの代わりとして手渡したものでした。日本に向かう船上でノーベル物理学賞の受賞通知を受けていた博士が、帝国ホテルの便箋に書いたメモ。そこには、「穏やかでつつましい生活は、絶え間ない不安に縛られた成功の追求より多くの喜びをもたらす」という言葉が書かれていました。

成功を追求することがいけないということではありません。目的に向かって懸命に努力する事は大切で、その過程での体験によって人は成長し、得られる達成感も素晴らしいものです。ただその時に得られる喜びは一時的、かつ際限のないもので、そういった喜びを得た次の瞬間、さらなるものが欲しくなるか、成功を失うのが怖くなるか、その状況に飽きてしまうものです。だから、もっともっと欲しいという成功への欲望にかられた生活は、常に不安と背中合わせになってしまうリスクがあるのです。

だとしたら、私たちが心の底から本当に求めている喜び、状況によって増えたり減ったり無くなったりしない、いつ、どこにいても常に感じられる喜び、はどこにあるのでしょう。

アインシュタイン博士は、それは、どこか遠いところにあるものでも追い求めるものでもなく、当り前になっている、ささやかに思う、今の生活の中にあると説いています。往々にして、何か特別な体験をすることが奇跡のように思われがちですが、あらゆるものの絶妙のバランスの上に生かされ、当り前の日常生活を送れていることこそ奇跡的なこと。

私たちが心の底から本当に求めている喜びは、その奇跡を感じ、感謝することから味わえるというメッセージは、世界最高の栄誉と成功、学問を究めた博士から発信されているだけに説得力があります。

このメモは100年近く前に書かれましたが、まさに現代社会を見通しているかのようです。

「もしあなたが幸運なら、このメモ書きは普通のチップよりもずっと価値が高くなるでしょう」と言って、博士はこのメモを手渡されました。博士の手書きのメモであるだけでなく、今、まさに必要なメッセージだからこそ、高額な価格で落札されたのでしょう。喜びとは、日々の生活という奇跡を感謝する中にある。もし成功を追求したいならば、その温かさ、充足感、穏やかさを一日一日しっかり味わいながら、やるべきことを淡々と行っていけばよいのではないでしょうか。

国際ヨガ協会会報誌「インナームーブ」2017年11月号改変

いきいき働く医療機関に認定されました

この度当院は、京都いきいき働く医療機関制度の基本認定を取得しました。
これは、
1.働き方・休み方の改善
2.職員の健康支援
3.働きやすい環境整備
4.働きがいの向上
の4つの領域の取り組みが認められた事を意味します。

今後も私達の「いきいき」が患者さん、地域の方々の「いきいき」にもつながると言う信念のもと、「人」を大切にする病院を目指してまいります。