新型コロナウイルスワクチンについて(四季報2021年4月号掲載)

ワクチンを接種することで重症化を防げるようになれば、それだけで非常に大きな価値があります。

新型コロナウイルスワクチンは、m(メッセンジャー)RNAワクチンという新しい技術を用いたワクチンです。mRNAはタンパク質を生成するために使用する情報を運ぶ設計図で、新型コロナウイルスのスパイク蛋白、つまりウイルス表面の突起の部分を作る指示を伝える役割を果たしています。ワクチンが接種されると、mRNAはマクロファージという免疫細胞に取り込まれ、スパイク蛋白を作るように指示します。
 
その後、スパイク蛋白がマクロファージの表面に現れると、このスパイク蛋白に対する抗体が産生される等、新型コロナウイルスに対する免疫を持つことになります。生きたウイルスはワクチンの中には入っておらず、また遺伝情報を体内に接種すると言っても、それによって人間の遺伝子の情報に変化が加わるわけではありません。
 
新型コロナウイルスに対するワクチンは数万人規模の大規模な臨床研究によって、90%以上という非常に高い効果が示されています。これは「ワクチンを接種しなかった人の発症率よりも接種した人の発症率のほうが90%少なかった」という意味であり、言い換えると「発症リスクが、10分の1になる」とも言えます。
 
インフルエンザのワクチンが一般的には50%程度の予防効果と言われているので、非常に高い有効率と言えます。また、ワクチンの効果には、発症を防ぐ効果とは別に重症化を防ぐ効果も期待されます。発症を防ぐことはできなくても、ワクチンを接種することで重症化を防げるようになれば、それだけで非常に大きな価値があります。
 

このワクチンは、m(メッセンジャー)RNAワクチンという新しい技術を用いたワクチンです。mRNAはタンパク質を生成するために使用する情報を運ぶ設計図で、新型コロナウイルスのスパイク蛋白、つまりウイルス表面の突起の部分を作る指示を伝える役割を果たしています。

ワクチンが接種されると、mRNAはマクロファージという免疫細胞に取り込まれ、スパイク蛋白を作るように指示します。 その後、スパイク蛋白がマクロファージの表面に現れると、このスパイク蛋白に対する抗体が産生される等、新型コロナウイルスに対する免疫を持つことになります。

生きたウイルスはワクチンの中には入っておらず、また遺伝情報を体内に接種すると言っても、それによって人間の遺伝子の情報に変化が加わるわけではありません。 新型コロナウイルスに対するワクチンは数万人規模の大規模な臨床研究によって、90%以上という非常に高い効果が示されています。これは「ワクチンを接種しなかった人の発症率よりも接種した人の発症率のほうが90%少なかった」という意味であり、言い換えると「発症リスクが、10分の1になる」とも言えます。

インフルエンザのワクチンが一般的には50%程度の予防効果と言われているので、非常に高い有効率と言えます。また、ワクチンの効果には、発症を防ぐ効果とは別に重症化を防ぐ効果も期待されます。発症を防ぐことはできなくても、ワクチンを接種することで重症化を防げるようになれば、それだけで非常に大きな価値があります。

ワクチン接種における安全性について 

安全性はどうでしょうか?mRNAワクチンは全く新しいタイプのワクチンなので、一部マスコミを中心に「安全性が確かめられていない」と不安を煽る人もいます。
 
しかし、すでに海外で何千万人という人に接種が行われ、副反応で死亡したとされる事例は報告されていません。もちろん、どんなワクチンであっても100%安全なものはありません。軽微なものも含めると多くの人になんらかの副反応は起こるでしょう。
 
最も頻度が高い副反応は注射した部位の痛みで、どちらのワクチンも6〜9割くらいの人で痛みを訴え、特に接種後12~24時間は痛みが顕著なようです。またワクチンを接種した部位はしばらく赤く腫れ、しこりができることがあります。だるさや頭痛も比較的一般的な副反応のようですが、高熱が出ることは多くはないようです。
 
これらの副反応は一般的に数日以内に消失し、解熱薬にも反応します。一般的に、副反応は高齢者よりも若年者の方が多く、2回目の接種では1回目よりも多くの副反応が起こるようです。                                      
 
最も懸念される副反応はアナフィラキシーなどのアレルギー反応です。アメリカやイギリスで接種が始まってからアナフィラキシーの事例が報告されています。アメリカで190万人に1回目の接種をしたところ21人にアナフィラキシー反応が起こった、とのことです(その後、後遺症を残すことなく全員快復されています)。
 
つまりおよそ10万人に1人にアナフィラキシー反応が起こる計算になります。71%の人で接種15分以内、86%の人で接種30分以内にアナフィラキシー反応が出現しており、ワクチン接種後30分程度は慎重に様子を見るようにしましょう。
 
インフルエンザワクチンなど一般的なワクチンのアナフィラキシー反応の頻度は100万人に1人程度とされていますので、それと比べると頻度は高いと言えるでしょう。
 
しかし、例えばペニシリンという抗生物質では5000人に1人くらいの頻度で重度のアレルギー反応が起こるのと比べると、決して頻度が高いわけではありません。ペニシリンのアレルギー反応はよく知られていることからニュースになることはありません。一方、新型コロナワクチンは世界中で注目されているため、マスコミも大きくセンセーショナルに報道しがちですが、冷静にリスクを評価する必要があります。
 

ワクチン接種は必要なの?

ワクチン接種はもちろん「義務」ではなく、必ず接種をしなければならないわけではありません。ワクチン接種をするかどうかは個人個人の判断に委ねられることになります。特にアレルギーをお持ちの方は、接種するかどうか医師とご相談の上ご判断ください。ただ、私自身は、90%以上の有効率で、アナフィラキシー等の重篤な副反応が10万人に1人という頻度のワクチンは、非常に優秀であると考えますので、接種をお勧めいたします。
 
脳神経リハビリ北大路病院 理事長 岡田 純