「コミュ力の高い人」って

昨今、何かにつけ「コミュニケーション」が重視される時代になってきたようです。

学校でも職場でも「コミュニケーション能力」、いわゆる「コミュ力」が求められ、書店にもこの手の書籍はたくさん並んでいます。「コミュ障(「コミュニケーション障害」の略)」なんて言葉が生まれたのも、ここ最近ですよね。

でも、そもそも「コミュニケーション」って何なのでしょう?みんな当たり前のように使ってますけど、これ、日本語じゃないですよね?

じゃ、辞書で調べてみましょうか。

Communication=(情報の)やりとり、連絡、伝達

あれ? “話すこと”じゃないの…?

そうなんです。「コミュ力」っていうと“話のうまさ”っていうイメージがあるみたいですけど、Communicationという言葉には、“話すこと”なんていう意味はないんです。

そうじゃないと困ります。だって、自慢じゃないですが、私、全然“話し上手”じゃないですから。そんな私に「コミュニケーションについて何か書いてよ」なんて頼まれても(この原稿を依頼されても)困りますから…(笑)

コミュニケーションっていうのは“やりとり”です。当たり前ですが、やりとりっていうのは一人じゃできません。相手が必要です。

つまり、コミュニケーションは一人じゃできません。常に相手と協力しながらの共同作業になります。(ちなみに、“話すこと”なら一人でできます。独り言ってそうですよね)

そうすると、「コミュ力」っていうのは“相手と協力しながらやりとりする能力”っていうことになります。一方的に“話す”だけだと協力関係は築けません。

相手の話をしっかり聴き、その気持ちや立場を理解しようと努めること(要は、相手を尊重する姿勢)が、この共同作業には不可欠です。うまく話せなくたっていいんです。大事なのは、相手を尊重する姿勢。これを持ってる人が、本当の意味で「コミュ力の高い人」なんですから。

公認心理師 臨床心理士 木場律志