高次脳機能障害Q&A

高次脳機能障害ってなに?

きたおじさん
脳梗塞や、脳出血などの脳の病気やけがのため、脳にダメージが生じ、突然今までできていた、考えたり、集中したり、記憶したりすることなどができなくなり、行動や精神に異常をきたすことなどを総称して、高次脳機能障害と言われています。

高次脳機能障害にはどんなものがありますか?
またどのような病状ですか?

記憶障害

  • 新しいことが覚えられない。
  • 過去のことを覚えていない。
  • 約束を忘れる。
  • 何度も同じ話をしたり、人に同じことを何度も聞いたりする。

注意障害

  • 気が散りやすい。
  • 単純作業でもミスが多い。
  • 作業など長続きしない。
  • 話の内容がコロコロ変わる。

遂行機能障害

  • 行動の計画が立てられない。
  • 計画の優先順位がつけられない。
  • 一つ一つ指示されないと出来ない。
  • 効率よくできない。

失語症

  • 相手の話が理解できない。
  • 字の読み書きができない。
  • 滑らかに話すことが出来ない。

失行症

  • 動作がぎこちなくなり、上手くできない。
  • 道具が正しく使えない。

失認症

  • 物の形や色などが分からなくなる。
  • 人の顔が分からなくなる。

社会的行動の障害

  • 欲求が抑えられない。
  • 感情のコントロールが難しくなる。
  • 自分から何もしようとしなくなる。
  • 態度や行動が子供っぽくなる。
  • 一つのことを始めると、止められなくなる(多弁など)
  • 相手の気持ちを理解することが出来ない。

半側空間無視

  • 片側のものに気づきにくいため、ぶつかったり、見落としたりする。

高次脳機能障害はどうすれば分かりますか?

きたおじさん
障害を見つけるには、正しい評価をすることが大切です。
その方法として、神経心理学的検査を行います。以下の検査は入院患者様に使用しているものです。

  • 知能検査
    WAIS-Ⅲ、コース立方体テスト、レーブン色彩マトリックス

  • 記憶検査
    WMS-R、RBMT(リバミード行動記憶検査)、AVLT、三宅式記銘力検査、
    Ray複雑図形検査、S-PA(標準言語性対連合学習検査)

  • 注意検査
    標準注意検査法CAT、かなひろいテスト

  • 遂行機能障害に関する検査
    BADS(遂行機能障害症候群の行動評価)、TMT (Trail Making Test)

  • 失語症検査
    SLTA(標準失語症検査)、CADL(実用コミュニケーション能力検査)

  • 失行の検査
    標準高次動作性検査

  • 失認の検査
    VPTA(高次視知覚検査)

これらの検査をすれば、その人の問題点が分かりますか?

 検査をすれば、その人の障害の全てが分かるわけではありません。当院では、入院生活の様子を観察しながら(対人関係・感情・気分・言語・思考・今までの生活状況等々)、その人の全体像をとらえた上で、総合的な評価をし、その方に合った質の高いリハビリを提供するように心がけています。

高次機能障害は「見えない障害」といわれ、周りからは理解しにくく、またご本人の受容も難しいことが多い障害です。今後、現実生活で直面するであろう困難に対し、当院では、正しく評価して訓練すると同時に、ご本人が一人で無理をして頑張りすぎないように、家族や友達、周囲の理解もして頂けるように、その患者様に合った周囲のサポート方法なども皆様と一緒に考えることができたらと思っています。